初夏の庵

「風塵や一枝あまさずつつじ咲く」(中村汀女)。寺町の古庵の鐘楼。本堂前の植え込みに射干(しゃが)の花を見つけた。境内にオオデマリや菖蒲などが咲いて初夏の趣が漂う。しかし、つつじは春の季語とか。晩春と初夏が同居する季節なのか。

観光客と思われる女性のグループが居た。静かにスマホを構える。邪魔をしないよう、カメラのファインダーに入らぬよう、物陰をぬって移動する。鐘楼を背につつじが群れ咲く。まばゆいばかりの花の色が視界を覆った。