何年か前、冬を迎える準備の雪囲いについて、風物詩行事として、その出来栄えを競うコンテストなどやったらどうか―と、戯言を言ったことがある。堅牢性や機能性はもちろんだが、雪囲いの中には何というか、美しさを感じるものがある。金沢の公園などにある、あの雪吊りは芸術的だが、豪雪に耐えられるのかどうか。「雪吊の松を真中に庭広し」(高浜虚子)。雪の重みや性質を十分に知る地元の職人さんが、阿吽の呼吸で仕立てる雪囲いに、雪国の叡智を知る。