単に「葵」と聞けば、徳川将軍家の葵の御紋を連想してしまう。だから、どこにでもあって「トテコッコの花」と言って、花びらを薄く剥がし、鼻の頭にくっつけて鶏のとさかを真似た子どもころは、その名も知らなかった。
このタチアオイを含め、かつてあった花の群生地が見られなくなった。シャガやフヨウが一面に咲き広がる所が少なくなった。ひとり孤高然と咲く花もいい。群れて咲き競う花もいい。繊細な季節の移ろいを、花たちに教えてもらう。