蕎麦と稲と

「遠山の奥の山見ゆ蕎麦の花」(水原秋桜子)。実りの秋に北信濃路は黄金色に彩られる。例年にない異常な熱波に農作物の被害が報じられ、一部で干害対策が講じられた。気ままな自然相手の生業は喜怒哀楽の繰り返し。

純白の海と言うには色むらがあるが、蕎麦の花の向こうに黄金田。映える光景の足下には地道で辛苦に満ちた日々があったのだろう。マラソン大会の最後の坂路を登りながら、その景観に息を整える人を見た。意を決して走り出す人がいた。