「山国に逢ふや幟の月遅れ」(杉山岳陽)。「甍の波と雲の波」だったか、正確に思い出せないが、「屋根より高い鯉のぼり」と歌うより、前者の詞が口をついて出る。筆者が子どものころ、節句の祝いなど菓子か何かで済まされていた。近所でも鯉のぼりなど見なかった。新聞紙で兜を折り、これも新聞紙を丸めた刀でチャンバラ。〇〇ちゃんに叩かれると痛くて逃げ回った。ことしもそんな季節。残雪をいただく霊峰を背に、鯉のぼりが泳ぐ。子どもたちが走り回る。